小原 裕之(おはら ひろゆき)

 音楽家(バリトン、指揮)。

 1989年兵庫県西宮市生まれ。
 2011年京都市立芸術大学音楽学部音楽学科声楽専攻を卒業(音楽学士)。
 2013年同大学大学院音楽研究科修士課程声楽専攻を修了(音楽修士)。
 2021年ザルツブルク・モーツァルテウム音楽大学リート・オラトリオ科修了(芸術修士Master of Arts)
 現在、ザルツブルク・モーツァルテウム音楽大学合唱指揮科およびザンクト・ペルテン司教区音楽院教会音楽科に在籍。


 これまでに声楽を故・森池日佐子、田原祥一郎、福島明也、折江忠道、マリオ・ディアスの各氏に、リート解釈をヴォルフガング・ホルツマイア氏に、指揮法をカール・カンパー氏、次いでイョルン・アンドレーゼン氏に、オラトリオ演奏をハンスイェールク・アルブレヒトおよびゴードン・サファリの各氏に、和声法および対位法を白石智英子氏に、オルガンをゴードン・サファリ、ミヒャエル・キッツィンガー、ウルリケ・ヴァイディンガーの各氏に、伴奏法とスコアリーディングをヴェルナー・レンベルク氏に、音楽学研究および修士論文を龍村あや子氏に師事。


 また声楽家の三井ツヤ子、歌曲ピアニストのハンス・アドルフセン、バロック・オーボエ奏者の植野真知子の各氏のレッスンを受講。
 他方、これまでにヴォルフガング・ホルツマイア(リート)、故・ダルトン・ボールドウィン(リート)、イングリット・マイア(声楽)、ペーター・ベルネ(オペラ指揮法)各氏のマスタークラスを受講。


 第24回兵庫県高等学校独唱独奏コンクール(県教育研究会音楽部会主催)の声楽部門に於いて金賞(第3位)を受賞。
 第60回全日本学生音楽コンクール(毎日新聞社主催)大阪大会の声楽部門、高校の部に於いて第3位入賞。同コンクール全国大会(東京文化会館小ホール)に出場(全国大会入選)。同コンクールの大阪大会入賞者発表演奏会に出演。
 第64回全日本学生音楽コンクール(毎日新聞社主催)大阪大会の声楽部門、大学・一般の部(ザ・フェニックスホール)入選。
 第13回ノーヴイ国際音楽コンクール(演奏家教育推進理事会/ノーヴイ国際音楽コンクール運営委員会主催)声楽部門で奨励賞を受賞。
 第26回日本ドイツ歌曲コンクール(日本友愛協会主催/日本ドイツ歌曲普及協会共催)入選(ファイナリスト)。


 平成18年度芦屋市芸術文化活動顕彰を受章。


【歌手として】
 オペラでは、W. A. モーツァルト《フィガロの結婚》抜粋(伯爵、アントニオ)、《ドン・ジョヴァンニ》(レポレッロ)、V. ベッリーニ《夢遊病の女》(ロドルフォ)、G. ドニゼッティ《愛の妙薬》(ドゥルカマーラ)、《ピーア・デ・トロメイ》(隠者ピエーロ)などに出演。


 コンサートではJ. S. バッハ《マタイ受難曲》抜粋(イェス)、ヘンデル《メサイア》抜粋(バス・ソロ)、フォーレ《レクィエム》(バリトン・ソロ)、ストラヴィンスキー《兵士の物語》(語り手)、京都ブライトンホテル「リレー音楽祭」、「第20回西宮市若手音楽家育成コンサート-萌える音楽家たち」(西宮市、(財)西宮市文化振興財団主催)などに出演するほか、特にドイツ歌曲(リート)の分野では、能管とのジョイント・コンサートでシューマン《詩人の恋》全曲を、ソロ・リサイタルではこれまでにシューベルト《冬の旅》全曲、シューベルト《白鳥の歌》からハイネ歌曲集、シューマン《ユスティヌス・ケルナーによる十二の詩》などを演奏し、緻密な解釈と美しいドイツ語の発音は高く評価されている。
 2024年、ピアニスト藤本海帆とリートデュオ「ヒュペーリオン」を結成し、定期的な歌曲リサイタルのシリーズを開始した。これまでにベートーヴェン《6つのゲレルトの詩による歌曲》、コルネリウス《クリスマス歌曲集》、シューベルト《水車小屋の美しき娘》などを取り上げている。


 他方オーストリアでは教会音楽のソリストとしても活動しており、これまでにザルツブルク大聖堂、リンツ郊外のザンクト・フローリアン修道院大聖堂などでモーツァルト《荘厳ミサ》やグノー《荘厳ミサ》、J. S. バッハ《クリスマス・オラトリオ》などのソリストを務めている。2019年にはザルツブルク音楽祭オープニングコンサートシリーズの中で、ザルツブルク大聖堂音楽監督シフラ・ヤーノシュの指揮の下モーツァルト《戴冠ミサ》ほかを歌った。


【指揮者として】
 日本国内においては2012~'13年「京都国際交流合唱団」指揮者、2012~'15年女声合唱団「コール真声会京都(旧称:コール真声会)」指揮者を歴任。

 オーストリアにおいては現在Kuchl教会合唱団正指揮者、Bel Canto合唱団第2指揮者としての活動に加え、2024年に弦楽アンサンブル「新・吟遊詩人」を結成、音楽監督としてヴィヴァルディからショスタコーヴィチ、バルトークに至る広範かつ意欲的なレパートリーを取り上げている。
 これまでにオペラの分野ではモーツァルト《魔笛》、ジャン=カルロ・メノッティ《アマールと夜の訪問者》を、宗教音楽の分野ではモーツァルト《雀ミサ》《戴冠ミサ》、サン=サーンス《クリスマス・オラトリオ》、ハイドン《天地創造》を、世俗声楽曲としてはオルフ《カルミナ・ブラーナ》を、器楽の分野ではヴィヴァルディ《四季》などを指揮。
 楽譜の緻密な分析と深い解釈に基づく的確な音楽指導と、専門的かつ効果的な発声法の指導は複数の団体で好評をもって迎えられている。


 一方、龍村あや子氏の指導のもと、修士論文として「シューベルト《冬の旅》-分析と演奏上の問題について-」を執筆するなど、ドイツ・リートを中心に研究・著述活動も行っている。


 また、折に触れて作曲及び編曲も手掛けている。


 オーストリア、ザルツブルク在住。